客先常駐IT(SIer)より、信用金庫の方がよっぽどブラックだった話

こんにちは。

 

某金融機関を退職し、IT業界に身を投じて半年が経とうとしている。

 

私が転職した会社は自社でのサービス開発もしているが、社員の大半は客先へ常駐する、SIerと呼ばれている。

 

私も現在、SIerとして客先で仕事をしている。

 

SIerという職について、ネットで調べると良くない話が多かったり、「客先常駐はブラックだ」と言わんばかりの記事を多く見かけたことはないだろうか。

 

確かに常駐先や、契約内容により一概には言えない部分はあるが、近年は様々な問題を経て、労働条件にシビアな会社が増えているはずである。

 

私は金融業界からIT業界に転職して思うことは、『SIerより銀行や信用金庫の方がよっぽどブラックだ』ということ。

 

今回はそう思う理由について書いていきたい。

 

銀行の労働環境

始業時間は8時半でも、全員8時に出社

おそらくほとんどの金融機関が株式市場や為替市場等々の関係で、9時に支店をオープンさせるだろう。

 

そのための開店準備があるため、始業時間は9時より前の場合が多い。

 

私が勤めていた信用金庫は、8時半始業だった。

 

しかし、実際に出社するのは8時。

 

見たことがある方はあまりいないかもしれないが、銀行や信用金庫は鍵を開ける時間にも厳しいため、解錠時間になるまで社員通用口に皆揃って、役職順に並んで鍵を開ける時間まで待たなければならない。

 

8時から開店準備に取り掛かるものの、始業時間である8時半までは給料が発生しない、サービス労働なのである。

 

この点において、現在は9時半始業であれば9時半に皆出社。

 

早く着いても待機する必要もないし、早く出社して自分の作業をすることもできる。

 

何か事情があれば、1時間の遅刻等認められるし、そのあたりの融通はかなり効くようになったと感じる。

 


金融業界以外に勤めている方には信じられないかもしれないが、私が信用金庫にいた頃はそれができなかった。

 

時間厳守。どんな理由であれ、遅刻は許されない

基本的に銀行で遅刻というものは許されない。

 

遅刻する人がいないため、もし遅刻するようなことがあれば、何が待ち構えているか、それもわからない。

 

信用金庫で勤務していた頃、何度か電車の遅延により、時間に間に合わなそうなことがあった。

 

その旨を上司に電話にて報告すると帰ってきた言葉は、

 


「どうにかして来て。タクシーとか車とかあるでしょ。」

 

そこまでして時間通り出社しなければならないのか。

 

他の業界であれば、午前休など融通がきくかと思うが、金融機関はそうはいかない。

 


雪が降ろうと災害があろうと、這ってでも出社することが求められるのだ。

 

以前、雪が降った時はいつもより早い電車に乗り、遅延があっても定時に間に合うように出社させられ、雪かきをすることがあった。

 

銀行、信用金庫など金融機関は、雪が降ろうが、電車が止まろうが、這ってでも出社を求められます。

 

逆に今の会社は電車が遅延しているとメールなりLINEで報告すれば、かなり大目に見てもらえるため、余計に精神をすり減らすようなことは減ったように感じる。

 

厳しい上下関係。風通しが非常に悪い


金融業界ほど昭和時代から続く、日本企業文化が根強く残っている業界はないのではないかと思う。

 

金融業界の多くは体育会系であり、上下関係が厳しい。

 

上司には役職名をつけて呼ばなければならず、◯◯さんと呼ぶことはまずない。

 

上司と話す際は立って話を聞かなければならなかったり、お土産等を渡す際も上席から順番に渡さなければならないという、超非効率な事も平気でやらせる。

 

そして日常的に見られた光景として、支店長が役席を横に立たせて何時間も説教するというものがあった。

 

朝8時に出社し、8時10分には説教が始まり、2時間経っても終わらない光景は、見るに耐えないものがあった。

 

私自身、上司から相当なパワハラを受けていた。

 

説教の内容も、基本的には人格否定を含むパワハラ。

 

信用金庫に1年勤めた私が上司から受けたノルマの詰め・罵倒・暴言フレーズ集。

 

若手社員が意見を述べる権利もないに等しいし、何かイベントに誘われれば拒否権もなく、強制参加させられる。

 

「社員は家族」と言わんばかりの生活を強いられ、精神的にも疲弊していたのをよく覚えている。

 

上からの圧力や拘束が厳しく、非常に風通しの悪い職場環境だったように感じる。

 

対してIT業界は比較的年齢が若く、昔ながらの文化を重んじる人は干されていくのではないかという空気さえある。

 

〇〇さんと呼べる社員もたくさんいる。

 

そしてペーペー社員でもある程度意見を述べないと始まらない場合もあり、その点で銀行ほど風通しは悪くないように思う。

 

人間関係は金融業界と比べるとドライであり、プライベートな用事に付き合わされることもほとんどない。

 

昼食、昼休憩は取れない

現在SIerとして働いているが、転職して最も衝撃を受けたことは、『全員が昼食を当たり前にとっている』ことであった。

 

ほとんどのサラリーマンにとって、昼休憩が1時間あるというのは当たり前の感覚かもしれない。

 

決められた休憩時間になれば当然のように、用意した弁当を机上に出して食べるなり、買うなりするだろう。

 

しかし、それは恵まれた環境だと思った方が良いと思う。

 


金融業界含めサービス業関係の会社では、決まった休憩時間がないことがほとんどだ。

 

私が勤めていた信用金庫の某支店では、休憩なんてまともに取ることができなかった。

 

1年半ほど勤めていたが、1年目の途中から半年くらい昼飯を食べる時間どころか、休憩さえも与えられなかった。

 

時には昼飯を食べられることがあったが、それも10分とか15分くらいで、飲むように食べてすぐ仕事に戻っていた。

 


1度、昼飯を食べたら上司に怒られたこともある。

 

休憩なしどころか、昼食も取れない会社で仕事を続けた末路。

 

このように、多くの社員が昼飯を食べられずに大直的、精神的に蝕まれていく様子を目の当たりにし、「他の会社に行った方が良いのでは」という確信を持った。

 

PC端末で勤怠管理。定時でログオフしてからはサビ残

私が勤めていた信用金庫では労働時間をPCのログイン時間によって管理されていた。

 


残業を減らすための対策だとは思うが、銀行の業務の多くは紙ベースの作業である。

 

定時になったら上司の命令のもと端末を切り、そこから紙ベースでの仕事が始まる。

 


勤怠表に記載するのはもちろん端末を切った定時で打刻することになり、主な業務である紙ベースでの仕事は残業は無給でやっていた。

 

先ほど述べた昼休憩が取れない時間1h分と、このサビ残とを合わせると、軽く月40時間は残業時間とみなしても良いと思うが、実際に申告していた残業時間は5hとそこらであった。

 

この残業時間を就活サイト等に公表していたが、実態はこの有様であった。

 

信用金庫からSIerに転職した私が伝えたいこと

いかがだろうか。

 

私が現在勤めているIT企業も、決してホワイトではないし、とにかく残業が多いので端から見たらブラックかもしれない。

 

しかし、残業時間以上に精神を蝕むものがあるということを知ってほしい。

 

今の会社は多少長く会社に残っても、確かに疲労やストレスは溜まるが、根本的な原因はそこではないと考えている。

 

私が考える観点は、『会社にいること自体が苦痛となっているか否か』ということである。

 

今は残業は多いものの、会社にいること自体はそれほど苦痛ではないが、信用金庫にいた頃は1秒でも早く外に逃げ出したいという気持ちで働いていた。

 


いるだけで苦痛な会社で残業しているにもかかわらず、それがサビ残で仕事をしていないことになっていたり。

 


労働時間が短くても、ストレスの密度がかなり違ったように感じる。

 

銀行を辞めたいと考えている方は是非参考にしていただきたい。

 


世の中でブラックと言われている業界、企業よりも銀行の方がブラックである可能性が高いことを。