【IT業界の闇】2年働いてわかった、SES企業の良いところ、悪いところ。

こんにちは。

私、某SES企業に2年ほど勤めておりましたが、この度、転職することといたしました。

今から2年前、信用金庫からIT業界、とりわけSES業界へ転職し、その中で気づいたことは多くありました。

そこで今回は、私が2年働いてわかった、SES企業の良いところ、悪いところについて書いていきたいと思います。

そもそもSES企業とは?

みなさんは、SES(システムエンジニアリングサービス)企業とは何のことか、ご存知ですか?

IT業界で働く方のほとんどの方は認識しているかと思いますが、IT以外の業界で働いている方にとって、身近出なく、知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私自身、業界の分析が甘かったこともあり、現職に入社してしばらくするまで、SESとは何のことかを知りませんでした。

経験したからこそいえますが、SESとは何のことかは知っておいた方が良いです。

端的にいうと、以下のような説明になります。

システムエンジニアリングサービスとは、システムやソフトウェアの開発・運用などで行われる委託契約の一種で、対象物の完成などを目的とせずに特定の業務への技術者の労働の提供を行う契約。提供元企業の従業員が客先のオフィスに常駐して技術的なサービスを提供するもの。
引用元:IT用語辞典

細かな違いとしてSESの他に、請負や派遣といったものもありますが、共通するものは、「自社ではなく客先に常駐して、人材リソースや成果物を提供している」ところでしょうか。

IT業界への転職を考えており、詳しく知りたいという方は、IT業界の下請け構造についての記事が多く書かれていますので、調べてみると良いでしょう。

それでは、本題に移っていきます。

SES企業の良いところ

①責任が軽い

これは「楽して稼ぎたい」という気持ちがある方にとっては非常にありがたいことです。

下請けで業務を行なっている手前、プロジェクトリーダーやマネージャーといった立場になることはまずありません。

プロジェクトが炎上しようが、トラブルが発生しようが、当事者としてよっぽどのことをやらかさない限り、直接的に責任を問われることはほとんどなく、基本的にプロパーの会社側の責任追及という形になります。

協力会社(以下BP)として派遣されている私たちは、プロパーに言われたことだけをやれば良いので、社会人としてはあまり望ましくない「指示待ち」というのが通用してしまいます。

②「逃げる」という選択肢がある

「SESはブラック」なんてよく耳にするかも知れませんが、確かに実際のところ、SES業界で精神的に病んで辞めていく人は多くいると思います。

少なくとも私の周りには多くいました。

しかし裏を返せば、「嫌なら逃げる」という選択がかなり容易にできてしまうのはメリットだと考えて良いと思います。

①でお話ししたように、BPに対する責任は重くありません。

いくらでも替えが効く存在です。

むしろ、プロパーの中にはかなり人の扱いが雑な方もいますので、そこで真面目に頑張ってしまうと精神を病んで長期的に社会復帰が難しくなるリスクがあります。

であれば、「この現場やばいかも」と察知した時点で、「プロジェクトから脱走する」という選択肢は持っておいた方が良いでしょう。

このように、普通の会社であれば、ある程度しんどい状況でも「我慢する」ことも求められたりしますが、SESの場合、比較的容易に働く環境を変えることができます。

③自社の監視がゆるい

SES企業は基本的に下請けになればなるほど、プロジェクトにアサインされる自社の人数は少なくなります。

すると「勤務先に上司や先輩がいない」状況はザラにあります。

そして、プロパー社員はあくまで他社なので、業務外の部分でいちいち口出ししてくることはないです。

プロパー経由で自社の管理職へ話が伝わることはありますが、自社の上司は実態を認識していないことがほとんどだと思います。

つまり、いくら頑張ろうが、いくらサボろうが評価はあまり変わらないこともあり得るわけです。

なので、勤怠状況や勤務態度についてはかなり融通を聞かせることができたり、資格の勉強を強制的にやらされるみたいなこともないです。

直属上司の監視がないというのは精神的にかなり楽です。

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SES企業の悪いところ

①プロジェクト内の情報が共有されにくい

プロジェクトの要件定義などのいわゆる上流工程はプロパーが主に行い、細かい仕様まで把握できるのはせいぜい2次請け企業までではないのでしょうか。

3次請け、4次請けと、下請けになるほど目先の単純作業ばかりが指示され、プロジェクト全体の細かな情報は共有されなくなっていきます。

私自身このような経験があり、目的やスケジュール感がよくわからないままExcelにキャプチャを貼るだけの証跡を大量に作らされたり、手動で作業しなければならない膨大な単純作業をやらされるだけの時期を長く過ごしてきました。

ひどい時は、HDDを使ったファイル移動を延々とやり続けるような、パシリ同然の扱いを受けることもあります。

②社員を育成する意識が低い

上記①に書いたことからも、プロジェクトの下請けとして働くと、そもそもIT関連の知識が非常に身につきにくいです。

加えて会社の社員に対する研修がほぼ皆無なんてこともよくあります。

では、なぜ社員育成の意識が低いのか?

以下の記事が非常にわかりやすいです。

結論を申し上げると、「社員のスキル向上は給与などのコスト上昇やより良い会社への転職機会を与えてしまう」からです。

【↓↓参考記事↓↓】

搾取型ブラック企業をつくろう! (超高速で成長するSES企業の経営戦略の一例)(引用元: BAMV-LLC-blog)

多くのSES企業の実態は同様なのではないかと推測します。

③業務の裁量はほぼ無し

もちろん下請けSES企業で客先常駐すれば、下流工程を担当することになり、自身の業務に裁量はありません。

プロパーに言われたことを言われた通りにやるだけです。

また、下請けになればあるほど、スケジュール感がタイトになっていき、裁量どころか、与えられた業務を終わらせるために残業が長時間化しやすいです。

私が経験したことがあるのは、23時過ぎに「これを集計して資料を今日中に作っておいて」と言われ、帰りはダッシュしてなんとか終電で帰宅したことがありました。

あくまで常駐先との雇用関係はないので、場合によっては労働時間など無視して、非人間的な扱いを受け、使い潰されることもあります。

④次々とチームを変えられ、常に稼働が高い

下請けSEは基本的にお手伝い要員感が強く、プロジェクト内で1つのチームが落ち着いてくると、すぐに忙しいへチームへ移動させられます。

私は全く別チームの数週間程度の納品作業や、炎上してしまったチームに優先的に移動させられ、ひたすらコピペを繰り返すような、膨大な単純作業をやらされたことがありました。

逆にプロジェクト全体が閑散期になれば、優先的に契約を切られ、自社へ帰還することになります。

こういった特徴から、SESとして働くと基本的に常に稼働が高く、労働時間は長くなりがちです。

⑤与えられる仕事は雑務系が多い

SE(システムエンジニア)のイメージとして、コードをガンガン書いて、開発をしているイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

案件にもよるのですが、開発工程に拘ればもちろんコードを書くこともあります。

しかし、SEは開発含む様々な工程を担当することになり、案件によって担当する業務も全く異なってきます。

特に下請けSEの場合は、やらなくてはいけないが、プロパーが時間を割いてまでやる必要性のない仕事が降ってくることが多いです。

なので、技術の求められるプログラム開発よりは、テスト実行や納品作業など、悪くいえば誰でもできるが手間がかかるような作業が多いです。

開発案件に参画したのに、開発環境なんてほとんど触れることもなく、Excelしか触っていないなんてザラです。

こういった部分からも、下請けSES企業で働くと、スキルが身につきにくいです。

まとめ:適度にサボって楽して稼ぎたい人にはおすすめの業界

いかがでしょうか。

SES企業の良いところ、悪いところを私の経験から列挙させていただきました。

私の個人的な考えとしては、「適度にサボって楽して稼ぎたい人にはおすすめの業界」かなと考えております。

というのも、「SESの良いところ」としてあげさせていただいた、「責任が小さい」「逃げるという選択肢がある」「自社の監視がゆるい」というのは他の業界ではなかなかないと考えるからです。

これらのメリットは、働く上でのストレスを大きく軽減させることができます。

確かにその分給料は低いし、上がりにくいのですが、適当に働いて毎月生活できるくらいの給料が稼げるので、「苦労してでもお金を稼ぎたい」とか、「スキルアップしてより高度な業務に取り組みたい」というような向上心がないような方にはオススメの業界とも考えられるでしょう。

ですが、景気が悪くなれば真っ先に契約を打ち切られる対象でもあり、スキルも身につかないので、将来的に安泰とは決して言えないですし、転職の際には困ることが多いのではないかなと思います。

これからIT業界への就職、転職を考えている方には、「IT業界にはこういった会社もあるから知っておいた方が良いよ」ということを伝えたいです。
IT業界では広く認知されているのですが、他業界からは意外と見えなかったりします。

IT業界に就職し、「こんなはずじゃなかった」と後悔して欲しくないので、頭の片隅にでも知っていただけたら良いと思います。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。