超入門!たったこれだけ!決算書の読み方を銀行員が1から解説!

こんにちは。

 

早速ですが、


・銀行に入った新入社員
・銀行での仕事に興味の有る学生
・簿記の勉強を始めたい方

 

決算書がどんなものか、気になったことはありませんか?

 

決算書って聞くと、「難しそうだ」とか、「一部の専門的な人が見るものだ」というイメージもあるかもしれません。

 

そんな方向けに、若手行員である私が、決算書の読み方について書きました。

 

第1弾として、『そもそも決算書って何?』ってところから始めます。

 

それでは本題へ。

 

そもそも決算書って?

「そもそも決算書って何ぞや?」という方も多いかもしれません。

 

『決算書』とは、各企業が作成する、企業の経営状況や財務状況が全て書かれている書類のことです。

 


決算書を見ると、その企業の実情がほぼ全てわかると言っても過言ではありません。

 

経営者と直接話したり、就職活動で面接しているだけでは見えてこない、内部の状況が決算書には全て書かれています。

 

銀行や投資家などは、この決算書をもとに、融資、投資の判断をしています。

 


決算書が読めるようになることで、その会社が安全に経営しているか、そして融資や投資の対象になり得るかが考えられるようになるのです。

 

決算書はどこで見れるの?

上場企業の場合、決算報告や、決算を開示することが義務付けられており、会社のホームページから『IR情報』のページに行き、『決算短信』『有価証券報告書』という項目があるはずなので誰でも簡単に見ることができます。

 

中小企業の場合、開示義務はないので、金融業界に勤めていない方は、なかなか決算書に目を通す機会はないかもしれません。

 

中小企業の場合、営業担当が決算書の原本を預かり、持ち帰ってコピーすることが多いです。

 

スポンサーリンク

決算書で主に見る3つの諸表

①損益計算書(P/L)

『損益計算書』には、商取引によって得たお金(売上)から、原価、そして諸費用、税金などを引いた額がそれぞれ記載されています。

 

損益計算書を見ると、利益を出すためにどれだけの費用がかかっているか、そして費用や生菌を差し引いた、最終的な利益(純利益)はどのくらいなのかがわかります。

 

損益計算書には、5種類の利益が記載されています。

 

上に記載される順番で説明します。

 

①売上総利益(粗利)

『売上総利益』は、サービスを売った利益(売上)から、サービスを提供するためにかかったお金(売上原価)を差し引いて求められる利益のことです。『粗利』とも言います。

 

『売上原価』の中には、原料費や人件費、光熱費などを含みます。

 


当然、売上原価が低いほど利益は大きくなり、稼ぐ力が強いと判断できます。

 

②営業利益

『営業利益』とは、①で求めた『粗利』から、『販売管理費』を差し引くことで求められる利益です。

 

『販売管理費』とは、『販売活動を維持するための費用』であり、ここには消耗品費や広告宣伝費などが含まれます。

 

営業利益がわかることで、『その会社が本業でどれだけ儲けているか』がわかります。

 

そのため、銀行や投資家も重視する指標となっております。

 

③経常利益

経常利益とは、②で求めた『営業利益』から、『営業外で生じた収益や費用』を含めて算出される利益です。

 

『営業外収益』は、預金等の受取利息や尚友する株式から得られる受取配当金、為替レートの変動によって変わる、為替差益などがあたります。

 

『営業外費用』は、銀行から借り入れたお金の支払利息や為替レートの変動によって起こる、為替差損などがあたります。

 

④税引前当期純利益

③で求めた『経常利益』から『特別利益』や『特別損失』を計上することで求められる利益のことであり、ここで税引前の利益がわかります。

 

『特別利益』とは、工場や子会社などの固定資産を売却したことによって得た一時的な利益のことです。

 

『特別損失』とは、災害によって発生した損失や、不祥事が起きた際の損害賠償金などが含まれます。

 


税引前当期純利益までを求めて、ようやく税金が絡むこととなります。

 

⑤当期純利益

④で求めた『税引前当期純利益』から、『法人税』や『地方税』など、各種税金を差し引いたものが当期純利益となります。

 


当期純利益が、1年間の企業活動の最終的な成果となります。

 

当期純利益をもとに、株主への配当などを判断します。

 

なので、配当を重視する投資家にとって、当期純利益も重要な指標となります。

 

②貸借対照表(B/S)

『貸借対照表』は、通称『バランシート』とも言われます。

 

貸借対照表からは、会社の資産の状況がわかります。

 

大きく分けると、『資産』『負債』『純資産』です。

 

表で表すと、左に『資産』右に『負債』『純資産』が記載されます。

 

①資産の部

貸借対照表の左に記載される、『資産の部』について説明をしたいと思います。

 

『資産』とは会社の財産です。

 

資産には、大きく分けて『流動資産』『固定資産』というものがあります。

 

簡単に言うと、『流動資産』とは、『1年以内に現金化できる資産』のことです。

 

例えば現預金、受取手形、売掛金などがこの流動資産にあたります。

 

対して、『固定資産』とは、『すぐに現金化できない資産』のことを言います。

 

例えば建物や土地、機械などです。

 

そして、右に記載される『負債』『純資産』は、『資産の元手』という考え方です。

 

②負債の部

『負債』とは、銀行などから借り入れたお金のことで、返済義務のある資産のこと。

 

負債にも『流動負債』『固定負債』があります。

 

考え方は同じで、流動負債は『1年以内に返済可能な短期借入金』のことで、固定負債とは、『すぐに返済する必要のない、長期的な借入金』のことを言います。

 

③純資産の部

『純資産』とは簡単に言うと、『返済する必要のない資産』になります。

 

『純資産』に分類されるのは、『株主資本』『少数株主持分』などがあります。

 

③キャッシュ・フロー計算書

『キャシュ・フロー計算書』とは、言葉の通り、『キャッシュ(現金)』の『フロー(流れ)』を見るための諸表です。

 

キャッシュ・フロー計算書を読むと、『今この時点』で会社の手元にあるお金の状況が見えてきます。

 


今現在のお金の状況は、損益計算書や貸借対照表だけでは見えてこないのです。

 

例えば、損益計算書において、売上や利益がたくさんあったとしよう。

 

しかしそのほとんどが手形や小切手などによる後払いの決済であったら、帳簿上は好調であっても、その会社にはほとんどお金が入ってきていないということになります。

 

手元に現金がなければ、事業を続けていくことが困難になっていきます。

 

このように、損益計算書や貸借対照表だけでは見えてこない、実際に手元にある資金を知る上で、キャッシュ・フロー計算書は非常に重要な役割を果たします。

 

キャッシュ・フローの基本的な考え方としては、『資産の増加は現金の流出、負債の増加は現金の流入』ということです。

 


例えば資産が増えるということは、不動産など、何かしらを購入したということです。

 


つまり資産が増えた分、購入金額分の現金(キャッシュ)が減るということになります。

 


逆に金融機関などから借り入れをした際、負債を抱えることになりますが、手元の現金(キャッシュ)は増加することになります。

 

この考え方さえ身についていれば問題ありません。

 

キャッシュ・フロー計算書は大きく3つに分けて構成されています。

 

①営業活動によるキャッシュ・フロー

『会社の事業でどれだけ稼いでいるか』を見るための指標です。

 

営業キャッシュ・フロー(以後CFと言う。)がプラスであれば、その会社は事業活動によってお金を得られていると言うことになります。

 


逆に営業CFがマイナスであれば、事業活動を続けるほど手元から現金が出て行っていると言うことになります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

『投資CF』とも言います。

 

『固定資産や有価証券にどれだけ投資しているか』『会社の将来のためにどれだけ投資ができているか』がわかる諸表です。

 

見方としては、投資CFがプラスであれば、『固定資産や有価証券を売却し、手元に現金が入ってきている』投資CFがマイナスであれば、『固定資産や有価証券などに投資をし、手元から現金がなくなっている』ということになります。

 

つまり、成長している会社ほど、投資CFはマイナスになりやすいということです。

 

これからの会社の成長に向けて、工場を大きくしたり、機械を購入したりして、『今その時点』で見れば、手元の資金がなくなるためです。

 

主な項目として、

・有形固定資産…ビルや工場、機械などの購入、売却によるキャッシュ・フロー
・無形固定資産…権利やソフトウェアなどの購入、売却によるキャッシュ・フロー
・有価証券…株や社債などの有価証券の売買によるキャッシュ・フロー

があります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

『財務CF』は、『会社がどれだけお金を借り、どれだけお金を返したか』がわかる指標です。

 


財務CFがプラスの時は、『銀行などからお金を借り、手元に現金が増えている』状態をいいます。

 

逆に財務CFがマイナスの時は、『銀行にお金を返し、負債を減らしている中で、手元の現金が減っている』状態をいいます。

 

主な項目としては、

・銀行からの借り入れ、返済
・社債の発行、償還
・株式の発行、取得
・配当の支払い

などがあります。

 

最後に:実際に会社の決算書を見てみよう。

いかがでしょうか。

 

今回は「決算書って何?」というところから、決算書における3つの主要な指標、『損益計算書』『貸借対照表』『キャッシュ・フロー計算書』について大枠を説明しました。

 


ここまでを理解するだけでも、実際に会社の決算書を見ると、その会社が儲かっているのか、それともあまり業績が良くないのかがわかってくると思います。

 


インプットをしたらアウトプット。

 

実際に会社の決算書を読んで、財務分析を自分のものにしていきましょう。

 

気になった部分があれば、100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2018という本を読んでみてください。

 

決算書についてほとんど知識がない方にとって、非常にわかりやすくまとめられています。

 

 

さらに踏み込んだことについては別の記事で書いていきたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。